内部留保課税 – 投資ファンドや富裕層が儲かるカラクリ

内部留保課税 - 投資ファンドや富裕層が儲かるカラクリ

財務省から発表された「平成29年4~6月期四半期別法人企業統計調査」によると、2017年(平成29年)4月から6月の金融業、保険業を含む全産業の利益剰余金は444兆円とのことです。

利益剰余金は、一般的には「内部留保」と言われており、企業が将来的に成長を続けるための原資として非常に重要な役割を果たしています。

この「内部留保」は、希望の党が掲げた「内部留保課税」によって、あたかも莫大な埋蔵金のように一躍注目を集めることになりました。

そして、「日本の企業はお金を溜め込み過ぎだ。賃上げに回すべきだ」という議論が多く聞かれるようになりました。

希望の党の内部留保課税は、消費税を増税する代わりに企業の内部留保に課税をして税収を確保しようとするものです。

消費税の増税が停止されれば、一般の人には好ましいように見えます。更に、内部留保に課税されることで、賃上げや成長投資が促進されると言われれば、尚更好ましいように見えます。

しかし、内部留保課税には問題点が少なくありません。

二重課税となる

まず、法人税と内部留保課税で二重課税になるということです。法人税支払後の純利益が積み重なったものが利益剰余金だからです。

これについては、小池知事は法人税を減税すべきとのスタンスのようです。会見では、日本の法人税率は他国と比較して高いと指摘し、トランプ大統領が主張する連邦法人税の引き下げ(35%→15%)を引用して、日本でも法人税の在り方は議論から外せないと会見で述べています。

つまり、内部留保課税と法人税引き下げという一見相反した政策を同時に行おうとしているということです。

配当増加によって得をする人はだれか

しかし、この政策には裏があります。この政策が実現した場合、企業の会計上、税引き後の純利益が増加し、「配当原資」を実質的に増加させるという作用があります。

配当原資が増えれば配当に回す額も増えることになります。

その結果、得するのは誰でしょうか。いわずもがな企業の株式を持つ投資ファンド(海外ファンド)や富裕層になります。

これは希望の党の経済ブレーンが投資ファンドの運営を行う「ニューホライズン キャピタル」会長兼社長の安東泰志氏であることと無関係ではないでしょう。

必ずしも賃上げにはつながらない

賃金は、固定的な費用(固定費)です。企業は固定費が増えると、利益が出にくい体質となります。経営者としては、賃上げには慎重にならざるを得ません。

一方、配当は固定的な賃金と違って、企業が生み出す利益に連動します。儲かった分だけ配当に回せばいいのです。従って、企業にとっては賃上げより配当の方がリスクは少なくなります。

この結果、賃上げよりも配当増加につながると推測されます。

従業員が一生懸命働いて会社にもたらした利益が、海外の投資ファンドや富裕層に分配される結果となるでしょう。

成長投資で失敗する可能性もある

内部留保課税によって、投資に回すお金が増えるとも言われています。しかし、投資は不確実性が高いものです。東芝の大きな失敗を例に挙げるまでもなく、多くの企業がM&Aで失敗しています。

このような失敗のツケは誰に回るのでしょうか。

経営者は責任を取って会社を辞めれば済みます。賃金の削減、人員削減などでツケを払うのは従業員です。

内部留保課税がもたらす負の作用をしっかりと認識することが重要です。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする