パラダイス文章とは、記載された著名人の中に鳥山明氏の名も、タックスヘイブンの問題は?

パラダイス文章とは、記載された著名人の中に鳥山明氏の名も、タックスヘイブンに問題は?

共同通信によると、英領バミューダ諸島の法律事務所「アップルビー」などから流出した書類通称「パラダイス文章」に鳥山明氏を含む複数の著名人の名前が記載されていたことが分かりました。

書類は「パナマ文章」同様に南ドイツ新聞(Süddeutsche Zeitung)が入手し、BBCやガーディアン紙をはじめ約100メディアが参加する国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が調査を監督しています。南ドイツ新聞は入手先について、「情報提供者保護のために公表しない」としています。

「パラダイス文章」は、1950年から2016年にかけて作成された13.4百万もの書類で構成されており、 6.8百万は「アップルビー」と「エステラ」、6百万は、カリブ諸島の法人登記簿、その他はシンガポールの「アジアティックトラスト」の書類ということです。

英領バミューダ諸島の法律事務所「アップルビー」は、1890年に設立され、バミューダ諸島における他国の企業や金融機関、富裕層の法人立ち上げ、登記を請け負っています。

パラダイス文章に記載された有名人や企業

朝日新聞デジタルによると、パラダイス文書に記載された著名人は、47カ国127人に渡り、次のような著名人や企業が明らかになっています。

著名人

  • 鳥山明氏(日本)
  • 鳩山由紀夫氏(日本)
  • マドンナ氏(米国)
  • ボノ氏(アイルランド)
  • トルドー首相(カナダ)
  • エリザベス女王(英国)

企業(NHKによる)

  • 丸紅
  • 住友商事
  • ソフトバンクグループ

タックスヘイブンの何が問題か

タックスヘイブンは、課税が完全に免除されるか、その大部分が免除される国や地域を指しており、以下のような地域が有名です。

  • ケイマン諸島(英国領)
  • バミューダ諸島(英国領)
  • バージン諸島(アメリカ領、イギリス領)
  • 米国デラウェア州

このような地域は、犯罪組織の資金洗浄や富裕層や法人の節税に使われることが多くなっており、問題視されることが多くなっています。

2016年5月の毎日新聞によると、ケイマン諸島に対する日本国内からの証券投資残高は2015年末時点で74兆円に達したとのことです。これらの証券は投資ファンドが保有しているものと考えられ、運用益に課税がされず、運用益が向上するため、ケイマン諸島に資金が流入したとみられます。

また、パナマ文章やパラダイス文章で明らかになったように数多くの著名人が、タックスヘイブンに投資しています。

資金洗浄は明らかに問題と言えますが、なぜ企業や富裕層のタックス・ヘイブンへの投資が問題視されるのでしょうか。

不公平感か

多くの人は、タックスヘイブン・租税回避地と聞くと、不公平だと感じるようです。

一般的な労働者は、企業から給与を受け取る際、所得税を源泉徴収されています。また、社会保険料も実質的に税金化していることから、年収の四割程度が引かれた上で、自分の手取りとなります。

また、日本において株式を売買した場合、得た利益の20%は分離課税という形で税金として収めなくてはなりません。

また、消費税についても、税金として負担感が強くなっています。

こういった負担感が、タックスヘイブン投資への厳しい視線になっているとみられます。

収益はタックスヘイブン対策税制により、日本において課税される

しかし、日本には租税特別措置法にタックスヘイブン対策税制が規定されており、当地での実効税率が20%以下であれば、個人や法人の収益とみなされ日本における課税対象となります。

上記のケイマン諸島の投資ファンドに企業や個人が投資した場合も、申告漏れや、故意に秘密口座などを利用した資産隠し・脱税がない限り、分配金は税務署に所得とみなされ、税金を払う必要があります。

パラダイス文章には丸紅の名前も挙がりましたが、朝日新聞デジタルによると、ケイマン諸島に作ったSPC(特別目的会社)から配当を受け取る契約をしているとのこと、受け取った配当金は丸紅の収益となり所得として課税対象となると考えられます。従って、適正に所得を申告する限り、税法上の問題は生じないとみられます。

タックスヘイブンに本社がある場合は

米国デラウェア州もペーパーカンパニーが乱立するタックスヘイブンとして、問題視されていますが、税金として流出せずに内部留保された資金が成長投資に使われたり、従業員の賃上げに回る側面もあり、タックスヘイブンに投資や法人を設立することは悪だと言い切ることはできません。

では、タックスヘイブンに本社を作って日本で事業を行った場合はどうでしょうか。例えば、バミューダ諸島にある会社が主に日本内国内で事業を行う場合ですが、この場合も法人税法に定められた所得を得た場合は、日本の税率に基づいて法人税を支払う必要があります。従って、節税が出来るわけではありません。タックスヘイブンに法人を設立して節税メリットを得られるのは、投資ファンドなど投資を事業として行う事業体に限られるでしょう。

資産隠しにつながる秘匿性が問題

タックスヘイブンの最も大きな問題は、その秘匿性です。隠し口座等やペーパーカンパニーを使って資産隠し・脱税を行っている企業や富裕層が存在する可能性は否定できません。パナマ文章やパラダイス文章が騒がれるのはこのためだと考えられます。

尚、日本はケイマン諸島と結んだ協定により、法人登記や資金の動き等の情報を取得することが可能となっており、資産隠しは困難です。

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